倍率方式の土地は、どうやって計算するのですか?

質問

私(77歳:男性)は関東圏に住んでおり、先祖代々、地主の家系です。

将来、私に万が一のことがあった場合に備えて、息子や娘にどのように遺産を遺すか、色々と考えています。
(息子には土地を遺し、娘にはある程度のお金を相続させるつもりです)

息子が土地を相続した場合、相続税がどれくらいになるのか?
相続税が払えないと息子も困ってしまうでしょうから、相続税がだいたいどれくらいになるのか?
自分で計算している最中です。

路線価で評価する土地は、路線価図を見ればよいことは分かります。
ですが、問題は、路線価がついてない土地です。

その土地の路線価図を見ると、
「倍率地域」
と書いてあり、道路に路線価が付いていません。

この「倍率地域」とはなんでしょうか?

また、倍率地域にある土地は、どうやって計算すれば良いのでしょうか?

回答

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

土地の評価には、大きく分けて次の2つの方法があります。

  • 路線価方式
  • 倍率方式

今回のご質問は、「倍率方式」の計算方法(評価方法)です。

倍率方式とは、言葉は大変悪いのですが、
「地方なので、いちいち税務署は路線価を付けられない。なので、地元の役所が計算した固定資産税評価額を使って計算しよう」
という方法です。

倍率方式の簡単な計算方法と、ミスしやすい点について、解説していきましょう。

 なお、「路線価方式」の計算方法については、こちらの記事を参考にしてください。

「相続財産の評価(土地)(路線価図の見方について)」

 

相続税理士による実務アドバイス

倍率方式の資料は、どこを調べればよいか?

倍率方式で評価する土地(路線価がついていない土地)ですが、路線価方式と同じく、まずは国税庁のホームページを見てみましょう。

「路線価図・評価倍率表(国税庁ホームページ)」

なお、路線価方式と同じ注意点ですが、相続税の土地計算は、亡くなった年(相続が開始した年)で計算しますので、平成27年にお亡くなり方の相続税を計算する場合は、「平成27年分」をクリックします。

 ご質問者様は、だいたいの土地の金額を計算したい、とのことでした。その場合は、今現在発表されている最新年分で計算すればよいと思います。

土地評価(路線価)(1).PNG

調べたい年をクリックしたら、つぎに対象地域をクリックします。

土地評価(路線価)(2).PNG

そして、路線価図をクリックしてください。

土地評価(路線価)(3).PNG

そして、ご自分の土地の町名をクリックすると、つぎのような表示がされると思います。

倍率方式(1).PNG

この路線価図ですが、

  • 青色の地域・・・路線価方式
  • 赤色の地域・・・倍率方式

となります。

青色の地域の土地は、道路に路線価が付いていますよね。
ですから、路線価方式になりますので、「路線価×面積」で土地の金額を計算しなければなりません。

これに対して、赤色の地域は、道路に路線価がついていません。
その代わりに、「倍率地域(ばいりつちいき)」と記載があります。

この地域が、今回のご質問の地域です。
この地域にある土地は、倍率方式で計算することになります。

 

倍率方式の土地はどうやって計算するのか?

倍率方式の土地は、計算自体はとても簡単です。

「固定資産税評価額×倍率」

要するに、固定資産税評価額(地元の役所が固定資産税をかけるために計算した土地の価額」に、一定の倍率を乗じて計算するだけです。

その一定の倍率ですが、こちらをクリックすると倍率表が表示されます。

倍率方式(2).PNG

そして、地域と地目を調べます。
もし、この土地が「宅地」であれば、「上記以外の地域」にあることになりますから、赤丸の「1.1倍」で計算します。

倍率方式(3).PNG

この土地の固定資産税評価額が1,000万円であれば、

「1,000万円×1.1倍=1,100万円」

となるわけです。

倍率さえ間違わなければ、計算自体は、とても簡単です。

ただ、いくつか落とし穴があります。
そのなかでも、税理士が最も間違えやすい部分として、「基準年度」の問題があります。

 

固定資産税評価額は「基準年度」を使う

倍率方式の土地を計算する際は、言葉は悪いですが、税理士はラッキーと思うかもしれません。
というのも、色々な補正率がある路線価方式に比べて、計算が簡単だからです。

ですが、そこに落とし穴があります。

それは、固定資産税評価額は基準年度を使うということです。

基準年度とは、何でしょうか?
固定資産税は、3年に1回、役所が金額を改定します。
(言い換えれば、3年に1回しか見直さないということです)

この3年に1回は、平成では3で割り切れる年度です。
例えば、平成21年、24年、27年といった具合にです。

ですから、税理士の方も、
「これから、平成26年に亡くなった方の相続税を計算します。平成24年から3年間は土地価額は据え置きのはずだから、お客さんからもらった平成26年分の資料で計算しよう。だって、平成24年(基準年度)と平成26年は同じ金額だからね」
という方が多いんです。

ですが、これは間違いです!

確かに、平成24年分の土地の固定資産税評価額は、平成25年、平成26年も同じ金額のはずです。

ですが、役所によっては、(サービスで?)、固定資産税評価額を下げているところがあるんですね。

固定資産税評価額を(勝手に?)下げた役所はこう考ます。
「土地の金額が毎年下がっているのに、3年間据え置きで計算すると、納税者に迷惑をかけるだろう。だから、ウチの役所は独自の基準で土地を毎年下げますよ!」

う~ん。大変ありがたいのですが、税理士が相続税を計算する際は迷惑です(^_^)

というのも、さきほどのご説明のとおり、税理士は3年間据え置きだと思い込んで計算します。
特に、お客様の手元には、平成26年分の納税通知書が届いていますので、改めて平成24年分の固定資産税評価証明書を取り寄せるのは大変なんですよね。

実際に、私が計算した事例や、他の税理士先生をお手伝いした事例でも、勝手に下げている役所は結構ありました。
(地方に多いんですよね・・・)

今回のご質問者様のように、簡易計算であれ問題ないのですが、税理士先生が正確な計算をする際は、必ず基準年度の固定資産税評価証明書を役所から取り寄せるようにお願いします。

なお、この他にも色々な注意点があります。
詳しくお知りになりたい方は、つぎの記事を参考にしてみてください。

間違えやすい相続税の土地評価(8)「倍率方式でミスしやすい点」

 

今回は、あくまで、ざっくりと相続税を計算するための方法をご説明してきました。

ですが、実際に相続がおきた場合は、税理士に、それも相続税に詳しい税理士に依頼することをお勧めします。
というのも、相続に詳しい税理士は、単に税金を計算するだけでなく、どのように遺産を次の世代に承継させれば良いのか、そのご提案もできるからです。
ですので、今のうちに、信頼できる税理士先生、相続税に詳しい税理士先生をお捜ししてみては、いかがでしょうか?

 

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。

 

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