物納の最後のハードル「現地調査」

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

土地や建物といった不動産を物納申請した場合は、税務署が現地を調べにやってきます。今回はその際のポイントについてご説明させて頂きます。

現地調査とは?

税務署に物納申請の書類一式を提出しましたら、おおよそ1ヶ月以内に、税務署と財務局が申請物件の現地調査にやってきます。物納しようとする土地について問題がないか、問題があれば直すように指示をするためです。

なぜ財務局までも調査にくるのか?

物納申請書類の提出先は税務署なのですが、税務署は提出された書類をそのまま財務局に転送しています。

財務局とは、国有財産を管理運用する役所です。国が物納財産を受け取ったら、財務局がきちんと管理運用することになります。そのため、その財産に問題がないかは、税務署ではなく財務局が主に判断することになっており、それで現地調査に来るのです。

当日は誰が立ち会うのか?

現地調査の当日は次の方々が集まります。

  • 税務署員(金額が大きい場合は国税局員)・・・2名程度
  • 財務局職員・・・2名程度
  • 土地家屋調査士の先生
  • 納税者
  • 税理士
  • その他関係者(借地人・近隣の関係者等)

皆さんが集まりますと、10名以上になることもありますので、事前に近隣の方に「税務署が調査に来ますのでご協力ください」とお伝えしておくべきでしょう。

税務署や財務局が指摘しそうな事項とは?

現地調査は1物件につき、概ね30分から1時間程度でしょうか。これが終わりますと、税務署員が財務局職員に「総括をお願いします」旨のお願いをします。その物件に問題がないか最終判断するのは財務局職員になるからです。指摘されやすい事項を挙げてみました。

  • 境界の杭が痛んでいる、または見えない、見えにくい
  • 測量図に記載されている杭と現在の杭が違う
  • 越境物(お隣さんの屋根や木がこちらに出っ張ってきている等)
  • 町内会のカーブミラーが取り付けられている
  • 町内のゴミ置き場になっている
  • 電柱が土地に食い込んでいる

これらは自用地(建物が建っていない更地)や貸宅地(他人に貸している土地)によっても、指摘事項が異なります。一般的には、貸宅地については、他人が利用しているため、自用地よりも指摘事項は少ないものとされています。また、これも一般論ですが、自分の土地から相手の土地に出っ張っている分には、あまり問題になりませんが、相手からこちらに出っ張ってきているものは、問題にされやすいようです。

事前に問題を解消しておくことが大切です

これらを、税務署や財務局に指摘されたら、直ちに修正しなければなりません。また、すぐに修正できない場合は期限の延長(「措置期限の延長」)もできますが、この期間中にも利子税(利息)がかかってしまいます。

そうならないように、物納申請書を提出する前に問題を洗い出し、事前に解消しておく必要があります。越境があればお隣さんの同意書をもらう、測量図と杭を確認する、現地の土地に不法投棄がないか確認する等・・・。

そうなりますと、税理士の知識だけでは物納はできないことになります。税理士は税の専門家ではありますが、不動産の専門家ではありません。そのため、一般的には次の方々の協力を仰ぐ必要があります。

  • 土地家屋調査士の先生(測量図と杭の関係を確認してもらう)
  • 地元の不動産業者様(賃貸借契約書の更新等をお願いする)
  • 物納のアドバイザー(税務署や財務局が指摘しそうな事項をあらかじめ解消してもらう)

ですが、皆様それぞれ専門が違いますので、最後は税理士が関係者の皆様をとりまとめ、事案を進めていく必要があります。

そうなりますと、税理士には「金銭納付が困難とする理由の判定」「最低限の測量知識」「最低限の賃貸借契約の知識」「税務署や財務局が指摘する事項の想定」といった、全ての分野においての知識が求められることになります。そういう意味では、物納は相続手続きの集大成といえるのかもしれません。

固定資産税も減らしてもらいましょう

固定資産税はその年の1月1日の所有者が払うものとされています。そのため、年の途中で物納しますと、払いすぎが発生します。自治体にもよるのですが、これを戻して貰うことが可能です。

例えば東京都ですが、4分割で払ううち、まだ期限が来ていない部分については、戻して貰うことが可能です(実際には一番最後に支払う固定資産税から減らしてもらえる)。

この手続きは都税事務所が自動的に行ってはくれず、こちらから自発的に届け出をしなければなりません。忘れずに行いましょう。

事前に準備すれば物納はできます

長々とご説明してきましたが、平成18年改正で相当に厳しくなったとはいえ、まだまだ物納をすることは可能です。

ですが、そのために事前の準備がより大切になりました。物納をお考えの方は、できれば相続発生前に税理士に継続的に相談して準備を進めることがとても大切です。お隣さんからもらうハンコも、時間をかければ貰える可能性も高まりますし、測量も余裕をもって行うことができます(土地家屋調査士に報酬を生前に払えば相続財産もその分減ります)。

平成27年より相続税の取得費加算が縮小され、ますますの増税が予想されます。きちんとした準備が、大切なお家の財産を守ることにつながります。余裕をもって色々な対策を考えたいものですね。

※本記事に関する無料相談はお受けしておりません。あらかじめご了承ください。