生前贈与のご相談

このページでは生前贈与について解説しています。
平成27年より相続税が増税されたということで、その対策として生前贈与が注目されています。
ですが、間違った情報や、誤解もありますので、このページを参考にして正しい知識を身につけましょう。

1.生前贈与とは何ですか?

贈与とは、自分が生きている間に、自分の持っている財産を、他人にあげることをいいます。

贈与には2種類あり、「死因贈与」と「生前贈与」があります。

死因贈与とは、財産をあげたい方、もらいたい方が、「私が死んだらこの財産をあげます」という約束をすることです。
遺贈(遺言書により財産をあげること)と似ていますが、死因贈与は口約束でも契約は成立すると言われています。(ですが、口約束ですと問題が起きてしまいますので、普通は書面にします)

生前贈与とは、財産をあげたい方が、生きているうちに財産をあげることをいいます。
※今後のご説明ですが、当事務所は税理士事務所ですので、このページでは、「贈与=生前贈与」という前提でご説明します。

生前贈与をすると、相続税を節税できる場合があります。
例えば、次のようなケースです。

(1)財産を少しずつ渡して節税

後でご説明しますが、税金は「贈与税>相続税」となっていて、贈与税の方が高くなっているんです。
考えてみれば当たり前ですね。贈与されてしまったら、相続税をかけられませんから。
ですが、少しずつ贈与すれば、贈与税も少ししかかかりません。
この方法は毎年少しずつ財産を移転させるため、10年~20年単位で考える必要があります。

(2)税金の特例を使って節税

居住用財産の特例(結婚して20年以上であれば夫から妻へ住宅を贈与できる)や、相続時精算課税制度(父から子へといった贈与の場合、2500万円を控除できる)といった制度があります。
これらは、使うと一時的に税金が安くなる場合がありますが、結果的に相続税が増えてしまう場合もあります。

2.相続税と贈与税の違い

上の世代(祖父・祖母・父・母)から、下の世代(子・孫)に財産を移す方法は、「相続」と「贈与」の二つがあります。
相続には「相続税」が、贈与には「贈与税」がかかります。

相続税の特徴

  • お亡くなりになってから初めて財産が移転する
  • 相続により財産を取得した人に相続税が課税される
  • 税率が比較的低い
  • 配偶者や住宅等には税額軽減等の特例がある

贈与税の特徴

  • 生前に財産を移転できる
  • 贈与により財産をもらった人に贈与税が課税される
  • 税率が比較的高い

相続とは、親御様が亡くなり、その財産がお子様に移転することをいいます。亡くなる前に遺言書を作られている場合(財産の受取人を指定している場合)は、その遺言書通りに財産が移転することになりますが、遺言書を作られていない場合は、相続人間で遺産分割協議を行い、財産の帰属を決めることになります。

贈与とは、親御様の生前中にお子様に財産をあげる、ということです(民法549条)。生前中に確実な財産移転を図ることができますが、本当に贈与がされているか、きちんとした証拠作りをしておくことが求められます。

2.生前贈与のメリット

(1)確実に財産を移転できます

ご自分がお元気なうちに、お子様に財産を確実に移転することができます。預金であれば振込で、不動産であればしっかりと登記を済ませ、税務署に対してきちんと贈与が成立している旨を証明しましょう。

ただし、一人だけ特別扱いすると、そのお子様は遺留分の減殺請求(他の相続人が最低限もらえる分についての返還請求をすること)を受ける可能性もあります。よって、一人だけ可愛がり、多額の贈与をしてあげると、相続がおきたときに争いのもとになるかもしれません。贈与するなら、他のお子様にも配慮したあげかたを考えるべきでしょう。

また、遺言書を作成して財産の取得者を指定する、という方法もあります。しかし、相続人同士の話し合いで、遺言書と異なった財産の相続も可能であるため、確実に財産を移転させたいのであれば、生前贈与はとても有効な方法といえます。

(2)将来の相続税を軽減することができます

相続税と贈与税の税率表(平成27年現在)

贈与税の税率表
通常の贈与
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
~200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円
20歳以上で直系尊属から贈与
~200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
相続税の税率表
法定相続分の各相続人の取得価格 税率 控除額
~1,000万円以下 10%
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
3億円超~6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

ご覧の通り、相続税よりも贈与税の方が税率が高いです。特に贈与税の方は、1,000万円を超えたあたりから40%を超え、さらに贈与すると3,000万円超で最高税率である55%になってしまいます。
ですから、大きな金額の財産を一気に贈与しますと、約5割の贈与税がかかってしまうのです。

つまり税務署は、「相続税を減らすために一気に贈与をすると、相続税以上の贈与税をかけますよ」ということにしているんですね。
そうでないと、事前に贈与している方だけが有利になってしまいますので。
(難しい言い方をすると「租税回避を防ぐため、相続税の補完税として贈与税が設けられている」ということになります)

ですから、生前贈与を行う際は、相続税と贈与税とのバランス(合計税額)を考えて、実行する必要があります。

具体的には、贈与税の最低税率付近(10%~20%)で、少しずつ、時間をかけて贈与する、といった対策が基本となります。
金額で言いますと、310万円くらいの贈与を毎年おこなう、ということでしょうか。
時間をかければかけるほど、相続税が安くなりますので、早めの対策が望まれます。

また、実行するに前に、一度相続税の概算額を計算しておき、毎年節税の効果を確認することが大切です。その点も顧問税理士等と確認しながら進めた方が良いと思われます。

3.節税を意識した贈与の方法

(1)暦年課税贈与を利用する

贈与税は、1月1日~12月31日までにもらった財産について、翌年の2月1日~3月15 日までに納付することになっています。
つまり、1年ごとに計算期間が区切られているため(暦年課税といいます)、毎年毎年、低い金額の贈与を繰り返していくこ とが、節税のために基本対策となります。

1-金融財産を贈与する場合

相続税対策として預金や上場株式と行った財産を贈与する場合、いったいいくらの金額を贈与すれば、一番効果的なのでしょうか?

<現金111万円を贈与する場合>

111万円を贈与した場合の贈与税は、以下の様になります。

贈与税 (1,110,000円-1,100,000円(基礎控除額))×10%=1,000円

この贈与により、子供の手元には1,109,000円が残ります。要するに1,000円だけ税金を納め、税務署にも申告書を提出して、贈与した証拠を残しておこうという意図があります。
しかし、この方法ですと、財産移転がいっこうに進まず、相続税節税のために数十年以上かかってしまうかもしれません。

<現金310万円を贈与する場合>

310万円を贈与した場合の贈与税は、以下の様になります。

贈与税 (3,100,000円-1,100,000円(基礎控除額))×10%=200,000円

上記111万円贈与では、遅々として財産移転が進みません。そのため、310万円を贈与します。
なぜ310万円なのかといいますと、贈与税の最低税率(10%)で贈与できる限界が310万円なのです(これを超えると税率が15%となります)。

このため、金融財産がある程度おありの方は、毎年310万円ずつ(又はそれを若干超える程度)の贈与を10年~20年間継続し、さらに複数のお子様達に贈与すれば、最低限の税負担で数千万円~数億円の財産移転を図ることができ、とても有効な方法と言えます。

2-不動産を贈与する場合

不動産を贈与することも勿論可能です。しかし、次のような問題があります。

  • 登記時に登録免許税等の税金が別途かかる
  • 司法書士の手数料がかかる
  • 不動産持分を少しずつ贈与すると、完了するまでには数年~数十年かる

不動産は金額が高額となるため、贈与するには共有持分を少しずつ、という方が多いように思われます。
しかし、上記の様に登録免許税や司法書士手数料がかかるため、実行されるのであれば、相続税の節税額と別途費用とを比較し、費用対効果を考えながら行うことになります。

また、マンションは、贈与税計算の基礎となる相続税評価額が、時価の約3割~5割程度になることも多々あるため、これらのマンション贈与も検討に値します。

3-その他の財産の贈与について

上記以外にも、同族会社株式の贈与、生命保険料相当額の贈与等、暦年課税制度を利用した方法は多数あります。暦年課税贈与は相続税対策の最も基本的な対策となりますので、早めに確認されることをお勧め致します。

(2)相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度とは、60歳以上の親から20歳以上の子供や孫へ贈与する場合、2,500万円まで贈与税を非課税にするという制度です(2,500万円を超えた分は一律20%の贈与税が課税されます)
相続が発生した際は、この制度を使って贈与を受けた財産と、相続した財産を合計して相続税額を計算します。
そして、この贈与により支払った贈与税を相続税から引いて相続税を計算します。
(引き切れない場合は還付が受けられます)

そのため、「贈与」という名前はついていますが、実質は、前倒しで相続をする、というイメージになります

この制度は、一見、とても使いやすいように思えますが、以下のようなデメリットがあります。

  • いったん相続時精算課税制度を利用すると暦年課税(110万円控除)に戻ることはできない
  • 贈与税はかからないが相続税は課税される(相続の前倒しという考え方)
  • 贈与された時点の価額で相続税を計算するため、不動産等を贈与され値下がりした場合に、余分に相続税を払う可能性がある
  • 財産が相続開始時に無くなっていたとしても相続税が課税される
  • 特定の子供(他の子供にしられないように)に贈与しても相続税の申告書でその贈与が他の子供に分かってしまう可能性がある

このため、なかなか使い勝手がよくない制度といえますが、親御様の財産合計が、相続税がかからないくらいの金額の範囲内であれば、検討しても良いかもしれません。

(3)贈与税の配偶者控除を利用する

贈与税の配偶者控除とは、長年連れ添った配偶者の老後の生活を保障するために設けられている制度です。
具体的には、夫が妻へ(または妻が夫へ)、自宅を贈与することができます。

特例の概要

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産、またはそれを取得するための資金を贈与した場合には、基礎控除110万円のほか、最高2,000万円を、贈与税の課税価格から控除することができます。

適用要件

  1. 夫婦の結婚してから20年以上たっていること
  2. 贈与する財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための資金であること
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた資金で取得した居住用不動産に、贈与を受けた人が実際に住んでいて、その後も住み続ける見込みであること

居住用不動産とは、住宅の敷地である土地、住宅用の建物といった、配偶者が住むための不動産のことをいいます。土地だけでも、建物だけでも適用を受けることができます。

控除額は、最大で2,110万円(配偶者控除2,000万円+基礎控除110万円)となります。

この特例は、一生に一度しか適用を受けることができません。また、贈与する額が2,000万円未満であっても残りの額を翌年に持ち越すことはできません。
なお、この特例の適用を受けて、3年以内に贈与者(あげた方)が亡くなってしまった場合でも、相続開始前3年以内の贈与加算の適用を受けることはありません。

この特例を使っても、相続税の節税につながることは少ない(そのような計算の仕組みになっています)です。
また、自宅の名義を移すときに、登録免許税といった税金もかかります。
ですから、この特例は、本当にお相手の老後の生活を心配なさるときに、使われると良いと思います。

(4)住宅取得等資金贈与を利用する

お子様の住宅購入資金について、親御様が援助すると、通常は贈与税が課税されるのですが、平成31年までは一定額までが非課税となる制度があります(住宅取得等資金の贈与)。

平 成27年は1000万円(一定の住宅の場合は1500万円)までが非課税となり、基礎控除の110万円を含めれば、1110万円までが非課税で贈与すること ができます。もしお子様に住宅資金を援助してあげたいのであれば、平成31年までの制度のため、早めに検討する必要があるでしょう。

(5)教育資金贈与を利用する

平成25年4月1日より、教育資金の一括贈与の制度が始まりました(平成27年12月31日以降も継続見込みあり)。

そ もそも、教育費は扶養義務者がその都度負担すれば、最初から非課税となります。しかし、お金を一括して信託銀行等に預けることにより、一括しての贈与が可 能となります(1,500万円までが非課税となります)。また、教育資金の範囲もかなり広くなっております(入学金や授業料のみだけでなく、お稽古ごとも 教育資金となります)。

そのため、この制度は、祖父母様がご高齢で、相続開始まであまり時間が無い場合に有効な制度といえますが、まだまだお元気なようでしたら、通常の教育資金贈与のように、そのつど支払えば問題ないことになります。
しかし、両親が払えるのに、祖父祖母があまりに多額の教育費を支払うと、問題になることがあります。あくまで一義的な扶養義務者は両親であると考えられるからです。この点はご注意ください。

(6)小規模宅地の特例を生かした贈与をする

小規模宅地とは、相続がおきたときに、自宅や商売に使っていた土地の金額を安くできる、という制度です。

小規模宅地の特例は、相続のときにしか使えません。
(言い換えると、贈与する時は使えません)

そのため、小規模宅地が利用できる土地があるのに、その土地を生前贈与してしまった・・・。
このような場合は、小規模宅地の特例を受けることができなくなってしまいます。

また、土地を贈与せず建物を贈与した場合でも、小規模宅地の特例を使えなくなってしまう場合もあります。

また、小規模宅地を受ける順番も大切です。
父が亡くなり、母と子供が相続人になった場合、誰から小規模宅地を使うのか、その選択によっても相続税が大きく増減する場合があります。
税理士にシミュレーションしてもらうことをお勧めします。

(7)値上がりしそうな不動産を贈与する

不動産の贈与は、現金の贈与よりも有利になる場合があります。

贈与税は贈与したときの財産についてかかります。
ですから、値上がり確実な財産を贈与すると、多少の贈与税を払っても「相続税+贈与税」のトータルの負担でトクをする場合があります。

例えば、区画整理事業が予定されている土地や、都市計画の変更が予想される土地は、地価の上昇が見込まれますから、相続税の負担軽減のために生前贈与を行っておいた方が良いかもしれません。

4.よくある失敗例

(1)預金を贈与したと主張したが税務署に否認された

相続税対策と称して、毎年数百万円を親の通帳から子供の通帳へ振込みます。そして、贈与税の申告納付を済ませます。ただし、子供が無駄遣いをするといけないから、子供名義の通帳印鑑は親が管理している、というケースです。

贈与が「正しく」成立するためにはいくつか条件がありますが、このケースの場合は、子供が実際にお金を使えない(通帳・印鑑・キャッシュカードは親が管理支配しているため)ことが最大の問題です。

この場合のように、税務署から贈与が成立していないため、この預金は子供の財産でなく、親の財産ですよ、と認定されると、数十年に渡って行った贈与が無駄になります。くれぐれも注意が必要です。

きちんとした贈与を成立させるためには、子供の生活費口座(又は子供が勤務する会社からの給与振込口座)に振り込むことでしょう。そうすれば、否が応でも子供はそのお金を使うことになりますので。

また、無駄遣いが心配であれば、子供達に贈与前に「無駄遣いをしないように」と釘を刺しておくことです(効果がないかもしれませんが・・・)。他にも生命保険利用やその他の方法による無駄遣い防止策があります。顧問税理士にご相談してみてください。

(2)妻のへそくりが亡くなった夫の財産とされた

これも多いトラブルです。特に奥様が専業主婦の場合です。日本では夫婦財産共有制ではありませんので、夫が外部から稼いできたお金の余りは、あくまで夫の財産となります。

そのため、毎月夫の給与から自分のへそくりを貯めていたとしても、妻の財産とはならず、それは夫の財産となります。

完全に妻の預金としたいのであれば、きちんとした贈与契約書を作り、贈与税の申告納付をする等、きちんとした書類整備が必要です。

しかし、相続税の配偶者控除制度(1億6千万円又は全財産の半分まで非課税)があるため、よほどの資産家の方でない限り、配偶者間での金銭贈与は必要ないのではないでしょうか。

(3)不動産の贈与契約書を作っただけで登記しなかった

不動産を贈与したいのであれば、司法書士に依頼して、きちんと登記をすべきです。過去には、贈与税を脱税しようとして、公正証書により贈与契約書だけを作り、数年後(贈与税の時効が過ぎるのを待った)に登記をした、という方がいらっしゃいました。登記をしたら法務局から税務署に通知が行きますが、そのときは時既に遅し、贈与契約はだいぶ前に済んでいるから贈与税をとれないよね、ということを意図したものです。

けれども、このケースでは税務署から、贈与契約書の作成時ではなく、登記があったときに贈与があった、とされてしまいました(有名な判例)。第三者間で不動産を売却した場合は、すぐに登記をしますよね。それと同じ考え方です。

そのため、不動産を贈与した場合は、すぐに登記をしましょう。また、不動産の名義変更登記を行うと、法務局から税務署に通知がいきますので、贈与税の申告義務があるのなら、きちんと贈与税の申告納付も併せて行いましょう(そうしないと、税務署からお尋ねが来て右往左往することになりかねません)。

また、登録免許税や司法書士手数料もかかりますので、不動産持分が110万円程度では、相続税軽減の効果は薄く、実行する意味がありません。共有持分評価で310万程度以上を贈与しないとダメかと考えられます。実行前に相続税の節税効果を確認することが大切です。

5.費用・報酬

費用ページをご覧ください。

 

 

 

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