間違えやすい相続税の土地評価(5)「二つの容積率について考える」

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

中央区で相続税の申告をしております、税理士の石橋です。

今回は、容積率(ようせきりつ)について考えてみたいと思います。

容積率とは何か?

最近は、国税庁のホームページも親切になりましたね。
土地評価について、事細かに解説してくれているのですから。

容積率についても、「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価」できちんと説明しています。

ですが・・・。これだけだと、何を言っているのか分かりませんね。
また、容積率がなぜ、土地の評価に関係しているかも説明していません。

容積率について簡単にご説明すると、次のようになります。

 

容積率(1).png

容積率とは、「建物が何㎡まで建てられるのか」という基準です。

例えば、その土地の地域が、「容積率=500%」だったとしましょう。
これは、「その土地の面積×5倍の床面積までの建物を建てられる」ということを意味します。

ですから、この図のように、100㎡の土地では、床面積500㎡の建物が建てられるんですね。

(本当はそんなに簡単ではないですが、ご説明のために単純化しています。)

 

路線価と容積率との関係は?

路線価は、基本的には、容積率を考えて設定されています。
例えばですが、こんな路線価図をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

容積率(2).png

この土地は、北側が容積率200%の地域、南側は300%の地域です。
つまり、南側の方が高い建物が建つ地域ですから、その分、土地の金額が高くなります。

路線価は、それを意識して付けられているんですね。

 

では、次のような土地の場合はどうなるんでしょうか?

容積率(3).png

この土地は縦に長い土地なので、容積率500%の地域をはみ出して、容積率300%の地域に、またがっているんですね。

このような土地は、容積率500%の建物を建てられなくなってしまいますので、価値が下がります。
この路線価500千円は、容積率が500%の前提で付けられていますので、500千円で評価するのは高すぎますよね。

ですから、このような場合は一定金額、評価を下げることができるわけです。

容積率の境目は、原則として道路から20メートル以上のところにある場合が多いです。
ですから、土地の奥行きが20メートルを超えたら、容積率の評価減があるかもしれない、と考えてみてください。

 

容積率には2つある?

ところで、容積率には2つの考え方があります。ご存じでしたか?
具体的には、次の二つになります。

  1. 都市計画法の容積率
  2. 建築基準法の容積率

(1)都市計画法の容積率

都市計画法という法律があります。
これは、健全な都市計画を目的とした法律ですが、この法律の中で、地域ごとの容積率が決められています。

ちなみに、都市計画法上の容積率は、役所のホームページでも調べることができます。

例えば東京都ですと、東京都のホームページの「都市計画図」のところで見ることができます。
ご自分の住んでいる地域がどのような地域(どれくらい高い建物が建てられるか等)を調べることが可能ですね。

また、ブルーマップでも調べることができます。
(ブルーマップというのは、詳細な住宅地図と思ってください)

ブルーマップは、国会図書館の地図室でもコピーが可能です。

(2)建築基準法の容積率

建築基準法という法律があります。
これは、建物を設備面から規定しています。

例えばですが、前の道路がすごく狭い土地に、ものすごく高い建物が建っていたとします。
その建物が火事になりました。

そうすると消防車が来ますが、狭すぎると消防車が入りにくい(入れない)ですし、高い建物まで放水やハシゴ車が届きませんよね。

ですから、建築基準法では、道路が狭い地域の土地には、低い建物しか建てられないようにしています。

(3)どちらの容積率を使うのか?

では、都市計画法の容積率と建築基準法の容積率、どちらの容積率を使って計算するのでしょうか?
答えは、厳しい方の容積率です。

普通は建築基準法の容積率が厳しくなりますから、そちらを使います。
ちなみに建築基準法の容積率は、土地の前の道路の広さによって容積率が変わります(広ければ容積率も大きくなります)

ですから、国道沿いといった、広い道路に面している土地は、都市計画法の容積率をそのまま使うケースが多いです。
ですが、狭い道路(具体的には12メートル未満)に面している土地は、建築基準法の容積率を使うことが多いでしょう。

ちなみに、国税庁のホームページでも「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)」というページで説明をしていますが、分かりにくいですね・・・。

容積率ひとつとっても、他の法律(都市計画法・建築基準法)を最低限知らないと、相続税の土地評価をすることができません。
その意味では、相続税って難しいんですね・・・。

 

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