間違えやすい相続税の土地評価(4)「不整形地の4つの方法を検討していますか?」

IMG_7986-1.jpg

税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

中央区の相続税理士、石橋です。

土地評価は主に路線価を使って計算します。
ですが、色々な調整が加わります。

そのなかでも間違えやすい、不整形地(形がいびつな土地)の4つの方法について、ご説明していきたいと思います。

不整形地の4つの評価方法

土地の評価は、「路線価×面積」で計算する。
これは前回までもご説明しました。

ですが、この「路線価×面積」で計算された金額は、この土地が真四角でとてもキレイで使いやすい最高の土地、という前提に立った上での金額です。
言い換えれば、形が真四角でなかったり(不整形地)、奥行きが長すぎたり(奥行長大)、間口が狭かったり(間口狭小)すれば、その土地の価値は下がりますから、土地の評価金額も下げることができます。

この、土地を下げる基準のなかに、不整形地(ふせいけいち)というものがあります。

国税庁の財産評価基本通達20(不整形地の説明)ページをご覧ください。

このなかで・・・
次の(1)から(4)までのいずれかの方法により奥行価格補正から三方又は四方路線影響加算までの定めによって計算した価額に、不整形地補正率を乗じて計算した価額により評価する。(途中一部省略)」
とあります。

つまり、不整形地(形が悪い土地)を評価する際は、(一番評価が下がるように)4つの方法の中から選んでいいよ、と税務署は言っているのです。
ですから、不整形地を評価する際は、どれが一番安くなるのか、4つの方法全てをシミュレーションしてから評価する必要があるのです。

他の税理士先生が作成された相続税申告書を見ることがよくあります。
その申告書の中の土地評価を見ますと、きちんと4つの方法を検討されていらっしゃらない税理士先生も多いのです。

なお、4つの方法とは、次の方法を指します。
(国税庁の図を参考に加筆修正しました)

(1)整形地として区分する方法

(1)不整形地.gif

この方法は、土地を整形地(四角)ごとに分けて、それぞれ単独で評価を行い、その単独評価の合計を面積で割って、全体の土地の単価を求めます。
そして、その単価に土地面積と不整形地補正率を乗じます。
この方法を使いますと、地味に評価を下げることができます。
是非、マスターしておきたい方法です。

具体例は、国税庁のページ「不整形地の評価―区分した整形地を基として評価する場合」が参考になります。

 

(2)面積を間口で除して計算する方法

(2)不整形地.gif

土地を四角で囲み、それを基に土地の単価を求めます。
一般的な不整形地の評価方法です。
逆に言いますと、この評価方法しかご存じのない税理士先生も多くいらっしゃいますが、それだともったいないです。

具体的な方法はこちらの「不整形地の評価―計算上の奥行距離を基として評価する場合」が参考になります。

 

(3)近似整形地を求める方法

(3)不整形地.gif

不整形地を真四角と仮定して計算する方法です。
(不整形地に近い四角、いわば近似整形地を求める方法です)
この方法を使うことは、(個人的な経験では)あまりないと感じております。

国税庁のページ「不整形地の評価―近似整形地を基として評価する場合」に具体的な計算例がのっています。

 

(4)想定整形地から隣接整形地をくり抜く方法

(4)不整形地.gif

入口が比較的狭く、奥が長く深い土地に、とても有効な方法です。
このような土地については、広大地(こうだいち:土地の金額が半分くらいに下がる方法)を検討することもあります。
ですが、広大地にならない場合は、必ずこの方法を検討してみましょう。

国税庁のページ「不整形地の評価―差引き計算により評価する場合」に具体例があります。

 

具体的な事例

不整形地を評価する際は、上記の4つの方法があります。
どの方法で評価すればよいのか?
これには、ひらめきと経験が大切です。
私の実際の体験談をもとに、考えてみたいと思います。

(4)の方法が明らかに有利なケース

次のような土地がありました。

不整形地(3).png

このような土地では、単純に(2)の方法で計算するのではなく、(1)または(4)の方法で計算する方が、一般的に評価が下がりやすいです。
結構、住宅地で、このような形の土地が多いんですね。
特に、最近は都内でも一戸建てブームです。
そうすると、分譲住宅業者が、このような土地の区画割をするんですね。
このような奥に長い土地は、赤と緑の2戸といったような形に分譲するのが、売りやすい面積や形になるからなんですね。
(このような形を路地状開発といいます)

このような土地では、経験上、(4)の方が有利になるケースが多いです。
念のため、全ての方法で試算し、最終的には(4)の方法で評価しました。

(1)の方法と(4)の方法で迷ったケース

このような土地も、たまにですがありました。

不整形地(2).png

この土地は、貸しマンションの敷地でした。
この場合ですが、次の2つの方法を検討しました。

  • (1)の方法(緑の四角を四つ作り、その合計をもとに計算する方法)
  • (4)の方法(全体、つまり想定整形地からから赤の四角をくり抜いて計算する方法)

このような特徴的な形の場合、実際に計算してみた方が、間違いがありません。
計算が細かくなりますので、計算式は省略しますが、このケースでは、ギリギリ(1)の方法が有利でしたので、(1)の方法により計算しました。

 

どうやって税務署への説明資料を作るのか?

上記のように、頑張って土地の金額を下げました。
(少なくとも、自分の頭の中ではイメージができあがっています)
ですが、これだけではいけません。
税務署への説明資料を作る必要があるのです。

土地の金額を計算した場合、税務署へ、「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」という書類を提出することになっています。
これに、路線価の金額や、土地の面積を記載することになっています。
ですが、これだけでは、税務署は、どうやって土地の金額を計算したのか、どうやって不整形地の四角を計算したのか、分かりませんよね?

ですから、上記の図のように、どうやって計算したか、図解の資料をつけて説明する必要があるのです。

たまにですが、税務署のなかでも、マニアックな方がいらっしゃって(笑)、土地の評価について文句貴重なご意見を頂戴することがあります(^^ )
そのようなことにならないよう、最初から、「自分はこうやって計算しました!」という資料をつけておき、税務署からダメと言われないようにすべきなのです。

また、たまに他の税理士先生より、「不整形地等の資料を作るには、どのようなソフトが良いのか?」といったご質問を頂戴します。

私は、以前は「蔭地名人(かげちめいじん)」というソフトを使っていました。
ですが、あんまり使い勝手がよくないので、現在は、市販の測量ソフト(CADソフト)を使っています。
この方が、測量図を復元しやすいですし、何より正確に計算できます。

土地の評価は図解で分かりやすく税務署に説明する!
私の方法では、相続税の知識だけでなく、CADソフトを使うため、パソコンの知識も必要になりますが、幸いなことに、今まで、税務署に土地評価で文句ご意見を頂戴したことはありません(^^ )
 

土地の評価は、無限といっていいほどのパターンがあります。
また、それを図解に落とし込み、税務署に説明する能力も求められます。
土地をたくさんお持ちで、相続税が高くなりそうな方は、事前にご相談頂ければと思います。

 

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。