間違えやすい相続税の土地評価(3)「土地を評価する際の面積は?」

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

中央区の相続税理士、石橋です。

相続税を計算するにあたっての土地評価は、
原則として「路線価×面積」で行う。

これは、前回までにご説明しました。

ところで、この「面積」ですが、どうやって調べれば良いのでしょうか?
少し考えてみたいと思います。

土地の面積(地積)の調べ方

土地の面積(地積といいます)はどうやって調べれば良いのでしょうか?
基本的には、次の方法によって調べます。

  1. 土地の登記簿謄本
  2. 地積測量図
  3. 固定資産税の納税通知書
  4. 建築確認申請の資料
  5. 土地の賃貸借契約書
  6. (土地の売買があった場合)土地の売買契約書

順番にご説明していきましょう。

(1)登記簿謄本

法務局に行きますと、土地の登記簿謄本をとることができます。
これには、土地の種類(地目)や地積(面積)が記載されています。

まずは、土地の登記簿謄本で地積を確認する。これが基本です。

(2)地積測量図

法務局に地積測量図が登録されている土地については、地積測量図をとりましょう。
法務局に登録されている地積測量図は、土地家屋調査士がきちんと測量したものですから、こちらの面積は基本的に正しいです。

ですが、地積測量図の中には、数十年前に測量したもので、面積が曖昧なものもありますから、そこは見極めが必要です。

また、法務局に登録されていない測量図、いわゆる現況測量図が見つかる場合もあります。
被相続人様のご自宅で現況測量図が見つかり、その面積が正しいようであれば、そちらの面積で申告することになります。

(3)固定資産税の納税通知書

固定資産税の納税通知書も参考になります。
こちらにも面積が記載されています。

この面積は、基本的には登記簿謄本のデータと連動しているため、登記簿謄本の面積と一致します。

ですが、自治体によっては、「登記地積」のほかに「現況地積」という項目を設けている場合があります。(東京都の都税事務所の場合は、そのように記載しています)

この「現況地積」とは、役所の固定資産税課の職員が独自に調べ、「実際に使われている面積はこれだけですよ」とした面積です。
ほとんどの場合は、「登記地積=現況地積」となるのですが、たまに違うこともあります。

その場合は、登記地積が間違っている場合がありますので、役所に問い合わせてみるとよいでしょう。

役所によっては、独自の資料(独自に測量した資料)を持っていて、写しをくれる場合もあります。

ですから、固定資産税の納税通知書も必ずチェックしましょう。

(4)建築確認申請の資料

土地の上に建物を立てる際は、役所や民間機関に建築確認申請をする必要があります。
建築確認申請の書類には、建物の敷地面積、道路との位置関係が記載されていますので、こちらの資料が残っている場合は、面積の参考になります。

なお、大規模建物の敷地といった場合には、各地方自治体ではなく、都や県に写しを請求する場合があります。

その場合は、都や県から写しをもらうことになるのですが、情報公開法を使って請求する場合もあり、その場合は取得に1ヶ月程度の時間がかかることもありますので、注意が必要です。

(5)土地の賃貸借契約書

土地を貸している、借りている場合は、土地の賃貸借契約書に貸付面積が書いてあると思いますので、そちらも参考になります。
ですが、古い賃貸借契約書ですと、面積が㎡(平米)ではなく、坪表記となっていますので、この場合は、あくまで参考程度の資料になってしまいます。

(なお、1坪は約3.3㎡になりますので、30坪ですと約100㎡になります)

(6)土地の売買契約書

購入した土地については、売買契約書があるはずですから、そちらに面積が書いてあると思います。
土地を売買する際は、原則として測量をして面積を測ります。そして、売買契約書に面積を記載します。

ですから、購入した土地については、売買契約書も探してみてください。

ただし、測量しないで売買することも、まれにあります。その場合は契約書に、「面積は(測量せず)現況による」といった記載になっているはずです。このケースは、契約書上の面積は、あくまで参考ということになります。

 

間違えやすいポイント

私自身が経験した、間違えやすい事例を挙げてみましょう。
ご参考になれば幸いです。

(1)残地処理のあった土地に気をつける

登記簿の面積(地積)は絶対でありません。
実際の面積と大きく違うこともあるのです。

(場合によっては5割程度違うこともあります)

具体的にご説明していきましょう。

残地処理-2.png

この土地ですが、登記簿を見たところ、500㎡となっていました。
ですが、自分の足で土地の周りを歩測したところ、どう考えても大きい。そう思いました。

謄本をじっくり見て納得しました。これは、いわゆる「残地処理」という土地なんですね。

この土地は、過去に分筆(土地を分けて登記すること)をしていました。
土地を分けた訳ですから、当然、本体部分(青色)の面積を減らすわけです。

全体(1,500㎡)から、緑(200㎡)と黄色(300㎡)を減らすわけですから、

「1,500㎡-200㎡-300㎡=1,000㎡」となります。

単純な引き算ですね。

ですが・・・。そもそも、この青色の土地の登記簿謄本に記載された1,000㎡という面積が間違っていた場合はどうなるんでしょうか?

平成17年までは、分筆登記をするときは、切り離す土地(緑色と黄色)のみを測量していました。
(残った青色の土地は測量していなかったんですね)

そうすると、一番最初の誤差、具体的には1,500㎡と1,000㎡との誤差500㎡を、最後まで引きずってしまいます。

分筆すればするほど、誤差は最後に集約されますから、今回のように、実際は1,000㎡だが、登記簿上は500㎡という、2倍の誤差ができてしまうんですね。

これは極端な例ですが、分筆を繰り返している土地は結構あります。
くれぐれもお気をつけください。

なお、平成17年以降は、原則として、残った残地(青色)の土地にも測量が義務づけられました。
そのため、それ以降の分筆登記は、基本的にはこのようなことは起こりません。

ですが、登記の法律で例外がありまして、「広大な土地について少しだけ分筆する場合等」は、残地の測量をしなくてもよいことになっています。

私も、そのような土地を実際に見たことがあります。

ですから、平成17年以降も、安心はできませんね。

(2)建物の床面積との対応について注意する

土地と建物の登記簿謄本をとってみました。
(建物は相当古い建物でした)

そうしたところ、数字上は次のようになりました。

建物の床面積.png

建物が、土地から、はみ出して建っている・・・?

もちろん、そんな訳はありません。これは、土地登記簿の地積が間違っているんですね。
(古い建物の場合は、ごくたまにあります)

この場合は、土地を100㎡で申告しますと、税務署もおかしい、と言ってくるでしょう。
数字上は、建物が土地からはみ出している訳ですから。

このような場合は、きちんと測量するなりして、正しい面積で申告する必要があります。

 

必ず測量する必要があるのか?

最近、他の税理士先生から、
「測量図がない場合、必ず測量する必要がありますか?」

といったご質問を受けることがあります。

答えは、「ケースバイケースです」とお答えしています。

財産評価基本通達8では、
「地積は、課税時期における実際の面積による。」

とされています。

この意味ですが、国税庁のサイト「実際の地積によることの意義」に説明がありますが、分かりにくいですね。
要は、「確実な資料があったらその資料の面積で、資料がなければ、ないなりの方法で面積を計算しなさい」といっているのです。

ですから、測量図がない土地の場合、まずは登記簿謄本の地積を見て、実際の地積と誤差が少ないようでしたら、登記簿上の面積を使うか検討すべきでしょう。
また、建物が建っているのであれば、役所から建築確認申請書の写しをもらうことも検討してみましょう。

さらには、ご自分で巻き尺や、ロードメジャー、レーザー距離測定器等で簡易計測してみるのも有効だと思います。

ですが、地価がとても高く、数㎡の誤差でも大きな金額の違いになるような土地は、土地家屋調査士の先生に現況測量(お隣さんの境界確認が不要な簡易的な測量資料)をお願いし、きちんと面積を出してもらった方が良いと思われます。
費用もそんなにはかからないはずですから。

測量をした方がよいのか。このあたりも、税理士の実務経験によるところが大きいですね。

 

地積(土地の面積)を少なくして申告すると、税務署から怒られてしまいます。
反対に、地積が大きく申告すると、余分な相続税を払うことになってしまいます。

是非、間違いのない、正しい土地評価をしてください。

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。