間違えやすい相続税の土地評価(2)「評価単位とは何か?」

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

中央区の相続税理士、石橋です。

相続税を計算するにあたり、土地の金額を計算する必要があります。
土地の評価は、原則として「路線価×面積」です。

この計算は、1つの土地ごとにするのですが、問題は、どの土地を一緒に評価するかです。
並んでいる土地を、1つ1つバラバラに評価するのか、それとも一体で評価するのか・・・。

簡単そうで、とても難しいテーマです。

また、最近はお知り合いの税理士先生から、評価単位のご相談も増えてきました。
そこで、私自信の経験を踏まえて、土地の評価単位について考えてみましょう。

土地の評価単位とは?

土地の金額は、土地ごとに計算することになっています。
ですが、ここでの「土地ごと」とは、どのような単位をいうのでしょうか?

国税庁のホームページに「宅地の評価単位」というページがあります。

こちらのページを見れば分かります・・・。
と、簡単に言えれば良いのですが、はっきり言って、読んでも分かりません(笑)

ポイントは、原則は「地目ごと」に、そして「自分や他人の権利の及ぶごと」に土地を分けます。
具体的にご説明していきましょう。

(1)まずは地目ごとに評価するのが大原則

土地は「財産評価基本通達」に従って評価します。
この財産評価基本通達は、全部で200項目以上あって、全部を完璧に抑えている税理士は、ほとんどいないでしょう。

この財産評価基本通達7に、「土地の評価上の区分」という項目があり、「土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。」とあります。
(地目とは、土地の種類という意味です)

つまり、土地を次の9種類に分類して、それごとに分けて評価しなさい、ということなんですね。

  1. 宅地
  2. 山林
  3. 原野
  4. 牧場
  5. 池沼
  6. 鉱泉地
  7. 雑種地

ですから、次のような土地があったら、宅地と山林とで地目が異なりますから、2単位(宅地と山林を別々)として評価します。

土地の評価単位(宅地・山林).png

ところで、土地の登記簿謄本を取ると分かるのですが、実際の地目(土地の種類)は、数十種類あります。
例えば、「公衆用道路」「牧場」といった具合にです。

ですが、相続税を計算する際は、この9つに分類して判断します。

なお、土地の地目で迷ったら、「不動産登記事務取扱手続準則」で判断することになっています。
この法律は、不動産登記についての法律で、地目の判定の仕方も、ここに定められています。

この解説は、国税庁の「土地の地目の判定」というページにも解説があります。
国税庁は親切ですね。以前はこのような解説ページはなかったのですが・・・。

またと、不動産登記事務取扱手続準則の具体的な運用方法についてお知りになりたい方は、民事法務協会の「地目認定」という書籍 が参考になります。
写真入りで地目の具体的な判定方法を書いてあります。(かなりマニアックな書籍で書店にはおいてありませんが・・・、読むと面白いです よ。)

(2)権利の及ぶごとに評価する

土地を地目ごとに分ける。これが大原則です。
ですが、同じ地目同士でも、別々に評価する場合があります。

例えば、次のような土地があったとします。
土地の所有者は両方ともAさん、建物も両方ともAさん所有です。

黄色の建物は自宅として利用していて、紫色の建物はAさんのお店として利用しています。

土地の評価単位(自宅と店).png

この場合は、2つの土地をまとめて1単位として評価します。
なぜか?

それは、「両方の土地は、いつでも自分の自由に使えるから」です。

Aさんの土地は、自宅はもちろんのこと、お店の方にも何ら利用制限がかかっていないですよね、。

自分のお店ですから。

では、次の例ではどうでしょうか?

土地の評価単位(自宅・貸家).png

今度は、赤い建物を「他人」に貸しています。この他人というのがポイントです。
というのも、財産評価基本通達7-2で、地目だけでなく、土地の上にある権利ごとに評価しなさい、となっているからなんですね。

青い土地はAさんが自由に使えます。
ですが・・・。緑の土地はどうでしょうか?

貸家に使っていますから、当然、入居者さんがいらっしゃいます。

そうすると、勝手にその緑の土地を使うことはできませんよね。

(勝手に売ることもできませんよね)

利用に制限がかかっているわけです。

この場合は、「青=自用地」、「緑=貸家建付地」として、別々に評価することになります。

ですから、まずは地目ごと、次に権利が及ぶごと、に評価すると覚えてください。
(ですが、実務上は膨大な特例や判例といった、例外項目がありますので、この通りにはいかないのですが・・・)

 

実際にあった間違えやすい事例

私自身が経験した、間違えやすい土地について解説していきましょう。

(1)賃貸マンションと駐車場

土地の評価単位(マンションと駐車場).png

賃貸マンションの敷地の一部を、貸駐車場として貸している場合があります。
この場合、次がポイントとなります。

  • 入居者専用の駐車場か、外部にも貸しているか
  • 塀や柵や道路等で完全に分離しているか

この駐車場が、賃貸マンション入居者が使うことを想定している場合、大きな柵や塀はないことが多いでしょう。
(ある場合は、また考え方が変わってきます)

ですので、問題は、その駐車場が、「入居者専用」か、「外部の方も使っているか」、というのが判断の分かれ目です。

入居者専用であれば、マンション敷地として、マンション本体と駐車場を一体として評価できます。
そうすると、駐車場部分も貸家建付地となり、土地の評価を下げることができます。

ですが、外部の方が利用していると、別々に評価しなければならないため、2単位としての評価となり、駐車場も自用地や雑種地となってしまいます。

私が実際に計算した土地は、20台中2台を外部に貸していました。
そうすると、別評価になり、評価単位は、マンション部分(青色)と、駐車場部分(赤色)の2単位となりました。

このように2単位で評価した場合、普通は評価が上がってしまいます。というのも、駐車場用地が貸家建付地評価にならないからなんですね。

(アパートで貸している土地は貸家建付地として評価が下がるんですね)

ですが、今回は逆に評価が下がりました。
というのも、近似整形地で多く下げることができたからなんですね。

(近似整形地については、また今度ご説明します)

ですから、土地を評価する前に、お客様に、「この駐車場は誰に貸していますか?」ということを、きちんとお聞きしなければなりません。
できれば、駐車場の契約書の写しも欲しいところです。

入居者専用駐車場か、外部に貸しているか。それによって、土地の金額が大きく変わってしまいますから。

(2)自宅と賃貸ビルとが隣接している場合

他人に貸している建物と自宅は別々に評価しする。
そうご説明しました。

では、次のような土地はどうでしょうか?

土地の評価単位(空き屋と自宅).png

普通は、貸しビルと土地とで別々に評価します。
ビルを貸していると、ビル入居者の権利が発生しますので、ビル敷地を自分の自由にはできないからです。

ですが・・・、空き屋だったらどうでしょう?
空き屋であれば、例え貸しビルであっても、自分の自由にできますよね。

(直ぐに売ることもできますね)

というわけで、これは1単位(貸しビル用地と自宅を一体で評価)するんですね。

ポイントは、相続開始日(お亡くなりになった日)で判断するということです。
例え、相続開始の翌日に入居してビルが埋まったとしても、相続開始日現在で空き屋ですと、1単位(一体)として評価です。

(ですが、数階あるうちの1フロアでも埋まっていれば、入居者の権利が発生しますので、2単位評価になります)

 

上記以外にも、様々な特例があります。
土地の評価は色々と難しいのですが、近年は、この「評価単位」が一番難しいと言われています。

法律や財産評価基本通達を読んでも、ホントのところは分かりません。
(判例や裁決等もあるからです)

ですが、評価単位で間違えてしまいますと、場合によっては、相続税を多く払ってしまうことにもなりかねません。
ぜひ、正しい土地評価をしてください。

 

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。