間違えやすい相続税の土地評価(1)「土地評価とは何か?」

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

中央区の税理士、石橋です。

最近、土地評価に関するご相談をお受けする機会が多いです。
相続税の土地評価とは何なのか、そして、何で土地評価が必要なのか、考えてみたいと思います。

なぜ土地の金額を計算する必要があるのか?

これは「相続税を計算するため」です。

相続税は、お亡くなりになった方の財産についてかかります。
ですから、全ての財産をお金の価値に換算する必要があります。

現金や預金は、原則としてそのままの残高で良いでしょう。
株式や証券投資信託も、買い取り金額が公表されていますから、それを使えばお金に換算できますね。
(ただし、名義預金や名義株式といった問題がありますが・・・)

土地も同じです。お金の価値に換算する必要があるんです。

 

どうやって土地の金額を計算するのか?

市販されている商品であれば、その売買金額を参考にして決めれば良いでしょう。
というのも、相続税を計算するにあたっては、財産の金額を「時価」で計算しなさい、とされているからなんですね。

ここでの時価とは、「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額」となっています。
つまり、「自分とは何の関係もない人に財産を売却した場合いくらになりますか?」ということを言っているんですね。

土地はこの金額を計算するのが難しいんです。
例えば、近くの不動産業者に「ウチの土地、いくらになるの?」と聞いてみることにしましょう。
大体の相場は分かるかもしれません。
ですが、「あなたの土地。絶対に1億円で売れますよ!」と言い切れる人はいないはずです。

というのも、土地の売買は色々な要素が入るからなんですね。
「売り急ぎ・買い急ぎ」「景気業況」「相手の資金状況(借入して買うのか・自己資金で買うのか)」「仲介業者の交渉力」
他にも色々なことが影響するでしょう。

そして、一番の問題が、「土地といった高額商品は頻繁に売買されていない」ということです。
頻繁に売買されている商品であれば、それらを参考にして金額を決められます。
ですが、土地は日用品ほどに売買されていませんから、金額を決めるのは難しいんですね。

また、自分で土地の金額を勝手に決めてしまいますと、税務署も困ってしまいます。
ご自分だけ不当に安く計算したのでは、他の方とのバランスがとれず、不公平になってしまいますから。

そこで税務署は考えました。
「土地の計算方法を全国一律で決めてしまおう!」
その計算方法が「路線価方式」と「倍率方式」と呼ばれるものです。

(1)路線価方式

路線価(鳩居堂).png

路線価方式とは、「路線価×面積」で土地の金額を計算する方法です。

路線価とは、道路1本1本つけられた値段です。
「この路線価の道路に面している土地は、1平米(1メートル×1メートル)をこの金額で計算しよう!」
税務署はそう決めたのです。

日本で一番高いと言われている、銀座にある鳩居堂前の路線価は、平成27年現在、26,960千円となっています(数字は千円単位となっています)
ですから、この26,960千円の道路に面している100㎡(約30坪)の土地は次のように計算します。

26,960,000円×100㎡=2,696,000,000円(約27億円!)

とんでもない金額になりますね(笑)

この路線価方式で計算すると、土地の時価の概ね8割になると言われています。
(ですから、理屈の上では、1億円で売買されている土地は、路線価ですと約8,000万円になるはずです)
本来は1億円で計算すべきところを、安全面(万が一、時価である1億円を超えたら納税者にとって不利になるため)に配慮して、路線価は低めに設定されています。

実際に相続税を計算する際は、ほとんどが、この路線価方式で計算することになります。

(2)倍率方式

全ての土地を路線価方式で計算できれば良いのですが、全ての道路に路線価をつけるのも大変です。
ですから、都心からある程度離れた土地は、倍率方式という方法で評価します。

具体的には路線価がついていない土地を評価します。

 

倍率方式.png

 

右下の道路には路線価がついていますから、路線価で評価します。
ですが、左上の道路には路線価はついていません。
このように、路線価がついていない土地は、「固定資産税評価額×倍率」で評価します。
ですから、倍率方式といいます。

具体的には、役所から送られてくる固定資産税納税通知書に、土地の評価額が書いてありますから、そちらに倍率(例えば0.8といった倍率)を乗じて計算します。
土地の種類、場所ごとに倍率が細かく異なりますので、注意が必要です。

 

路線価方式にも倍率方式にも限界はある

路線価方式は、よく考えられた方式です。
公示地価(その場所ごとの代表的な土地の地価)を参考にして、路線価を決めていますから、実情におおむね合っていますし、時価の約8割になるようにしていますから、納税者にとっても安心です。

また、倍率方式も妥当な方法です。
路線価をつけられないような地方の土地も、役所の固定資産税課が実情に合わせて評価した固定資産税評価額をベースに計算するので、一定の正確性も担保されています。

ですが、路線価方式でも、倍率方式でも、解決できないような土地もあるんですね。
例えばですが・・・
鑑定評価.png

この土地のように、入口が極端に狭く、土地の形もいびつで、なおかつ電線の高圧線が通過している・・・。
そのような土地ですと、路線価方式で計算した場合、実際の時価(売買価額)よりも高くなってしまうことがあるんですね。

そのような場合は、「鑑定評価」で計算し、税務申告をします。
具体的には、不動産鑑定士の先生に「この土地の金額を計算してください」とお願いし、鑑定評価書を作成してもらいます。
そして、この金額で税務署に税務申告するんです、

税務署は、基本的に嫌な顔をします。
本来の方法(路線価方式・倍率方式)と違う訳ですから。
また、不動産鑑定士の先生への費用も発生します。

税務署にダメと言われるリスク、不動産鑑定士の費用、それらを総合的に考え、それでも鑑定評価をした方が良いのであれば、すべきなんでしょうね。

 

基本は路線価方式で。地方に行くと倍率方式。そして、ごくまれに鑑定評価で。
土地の計算は、このような方法で行います。

次回からは、路線価方式で間違えやすい点について、考えてみましょう。

 

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。