相続の思い出(2)「税理士がお客様と一緒に銀行へ行く場合とは?」

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税理士 石橋將年(いしばしまさとし)

東京都中央区日本橋で開業しております、税理士の石橋です。

相続があったときは、ほぼ必ず、相続人(お客様)と銀行とに接点が生じます。

預金の名義変更だけであれば、相続人と銀行とが、わざわざ打ち合わせる必要もありません。
というのも、最近の銀行は、「相続事務センター」で相続手続きを行っていますので、そちらに書類を郵送すれば、名義変更は終わります。
(窓口でやり取りすることもありますが、短時間で終わります)

また、借入金の引き継ぎについては、誰が引き継ぐかについて、銀行の承諾が必要ですから、相続人と銀行とで打ち合わせが必要になります。

これらの手続きは、いずれも、相続人ご自身と銀行とでやり取りをして頂くものです。
よって、基本的に、税理士は関係ありません。
(税金は関係してきませんので)

ですが、私は複数の案件で、相続人(お客様)と一緒に、銀行へ同行したことがあります。

税理士がどのような場面で、お客様のお役に立てるのか、少し考えてみたいと思います。

 守秘義務の関係で、事実関係を若干変更しています。

どのような場合に、税理士が相続人(お客様)と一緒に銀行に行くのか?

銀行で打ち合わせをした方であれば、お分かりになりますが、銀行には「会議室」があります。
この会議室の用途ですが、色々とあります。12c739442e40c2979aa85e40d6ac0914_s.jpg

  • 新規に銀行借り入れをする場合
  • 相続が起きた場合の各種手続き
  • 不動産売買の決済の場所として

他にも色々な用途が考えられますが、基本的には「預金」と「借入金」に関するお話しをする場所として、銀行にお願いして使わせて頂きます。

相続が起きた場合、相続手続きは相続人が行います。
ですので、税理士が銀行に一緒に行くことは、殆どないと思います。

ですが、まれに税理士が相続人(お客様)と一緒に銀行に行くことがあります。
それは、つぎのような場合です。

  • 被相続人の借入金の返済計画を話し合うため
  • 相続税の納税資金を借りるため
  • 預金の名義変更書類に相続人がサインするため

被相続人が多額の借り入れをしていた場合、その返済原資をどう工面するのか?
相続税の納税資金が工面できない場合、銀行からの借り入れを検討するのか?
さらには、ご高齢のお客様の場合、「書類に不備がないかを代わりに確認してください」、というご要望で、一緒に同行することもあります。

「財産は預金と不動産だけ。借り入れはありませんよ」
そのようなお客様ばかり対応していると、銀行と接点が持てなくなりますので、銀行がどう考えているのかを知ることができなくなります。

ですので、借入金が多い方に相続が起きた場合、銀行対応を経験している税理士に同行してもらった方が、手続きがスムースに進むかもしれません。

銀行員にもミスはある

皆さん、銀行といえば、
「1円単位まで、きちんと数字を合わせる」
とのイメージをお持ちではないですか?

ですが、本当にごく希ですが、数字が間違っていることがあるんですね。

以前に私が経験した事例ですが、某都市銀行の預金残高証明書が間違っていることがありました。

具体的には、「預金残高1,000万円」のところ、「預金残高700万円」と表示された残高証明書が送られてきたのです。

ミスを発見して、そっと銀行に連絡しました。
銀行員は、
「お客様にはミスがあったこと、お伝えしないでください~」
と平謝りでした。

ですが、私は、
「それはできません。ですが、(お客様を刺激しないよう)私の方から、やんわりとお伝えしておきますね(^_^)」
と、返答しました。

5f872296e40ffc86cfcf0c459cda7f98_s.jpg後日、訂正後の残高証明書を発行してもらいました。
そのとき、私は銀行員に聞いてみました。
「残高証明は、預金通帳のシステムと自動連動しているのでしょう?なのに、なんで間違えるんですか?」

すると、銀行員は、
「いえいえ、石橋先生。あれは未だに手打ちで入力しているんです。ですからミスが出てしまうんです・・・。本当に申し訳ございません。」
とのことでした。

万が一、預金残高が700万円であるとして相続税を計算していたら、相続税の過少申告になってしまっていました。
残高証明の残高が、預金通帳と一致しているか。
相続後のバタバタの状況では、相続人様はそこまで確認できません。
税理士がチェックして差し上げるべきでしょう。

金利(利息)が安くなった。嬉しいですね。

相続税を払うために、銀行から借り入れを考えているお客様がいらっしゃいました。
そんなとき、ただ漠然と
「金利を下げてくださいよ~」
とお願いするのではダメです(^_^)

そこは、税理士なりの言い方があります。
それは、
「税務署へ延納(相続税の分割払)する場合は、利息が安いんですよ~。ですから、お宅(銀行)の金利も安くしてもらわないと、こちらにメリットがないですよね?」
と、交渉してみましょう。

というのも、延納(相続税の分割払い)で、税務署に支払う利率が、平成26年以降、大幅に下がったからなんです。

 色々な条件がありますが、一番良い条件ですと、年2%を切ることもあります。

また、交渉時には、単なる口頭ではダメです。きちんと、証拠を見せる必要があります。
この場合ですが、国税庁のホームページの該当部分を印刷して持参すべきでしょう。

交渉の結果、1%台の低い利率で借りることができました。
お客様には、大変感謝されたことを思い出します。

用意周到に準備して、交渉に臨まないと意味がありません。
二手三手、先を読んで資料を準備しておく。それも、税理士に求められるのかもしれません。

銀行員には色々な人がいる

世の中には、色々な方がいらっしゃいます。
当然、銀行員にも、色々な方がいらっしゃいます。

  • お客様の顔色を瞬時に判断して上手く切り返す人
  • 皆の面前で部下を厳しく叱りつける人
  • お客様の前で机をたたき、激しい口調でお客様に話す人
  • 異常なくらいに親切な人

銀行員の皆さんも、大変です。
間違って担保価値を低く見積もってしまった、ノルマが達成できない・・・。
そのような悩みを抱え、日々頑張っていらっしゃいます。479d696980b267fccb2dde4fe26d3e74_s.jpg

ですが、(銀行員の皆さんの立場も分かりますが)こちらもお客様をお守りする必要がありますので、きちんと言うべきことは言う必要があるでしょう。
特に、きちんと返済計画どおりに返済しているのに、強く言われる筋合いはありませんから。
ですが、銀行は別に敵ではありませんから、そのあたり、大人の対応が求められますね。

 

相続が起きた際、税理士が銀行に一緒に行って、お役に立てるかどうかについて考えてきました。
私の経験上、お客様から
「一緒に銀行に行ってもらえますか?」
そう求められたら、税理士は同行すべきと思います。

ですが、繰り返しになりますが、やみくもに同行しても意味がありませんから、行く前にきちんと税理士の方で、どのような話しをすれば良いのか、作戦?をきちんと考えておく必要があります。

作戦を考えるためには、税理士の知識・経験が求められるでしょう。
税理士もお客様のお役に立てるよう、日々研鑽を続けたいものですね。

※本記事に関するご質問には、お応えしておりません。予めご了承ください。